初日のテーマは「舞台は世界」

ヴァイオリン服部百音  チェロ水野優也  ピアノ吉見友貴

世界のトップを走る3人が登場!

世界を舞台に活躍する演奏家でありながら、現在、学生でもある3人。本来であれば、日本、ブタペスト、ボストンとそれぞれの環境で音楽を学び、日々研鑽を積んでいる毎日.....のはずですが、なんというタイミング!夏休みで日本に帰国中、奇跡的に組むことができたトリオ。とても貴重なステージが実現しました。まさにクラシックファン必聴の一夜!

当日のセットリストはこちら

◆シマノフスキー / ノクターンとタランテラ

◆ショパン / 舟歌

◆ラヴェル / ラヴァルス

◆バッハ / 無伴奏チェロ組曲第1番 プレリュード

◆ブラームス / チェロソナタ第2番 へ長調

◆フランク / ヴァイオリンソナタ

◆アレンスキー / ピアノトリオ第1番

服部百音さんのヴァイオリン、水野優也さんのチェロ、吉見友貴さんのピアノ、それぞれの音楽の世界に引き込まれ、聴いている自分がまるで音の渦に巻き込まれていくような感覚に。息を呑むほどの気迫にグーーッと引き込まれたと思いきや、とろけるような美しい音色に優しく包み込まれたり、時には色彩豊かで華麗な音楽に思わず踊りたくなったり。

最後のトリオは若きエネルギーの結集。

曲目はアレンスキー / ピアノトリオ第1番。

服部百音さん

『アレンスキーのトリオ、練習の時にどうも3人共腑に落ちない(チャイコフスキーのトリオの模倣?やどう考えてもショパンのピアノコンチェルトのあそこだろ、と言うような場所とか…主体性がなくどうアプローチしても表面的に聴こえてしまい説得力が出ない)ところの作り込みにどうしたものかと頭を悩ませ、同じ頂上を見据えながらも主張をぶつけ合い、食べると眠くなるからと合わせが落ち着くまでご飯お預けにしたりしながらの濃い2日間の練習を経て、どんどん胸を張って魅力的だと思える音楽に変わって行き本番ではリハで一度も納得行っていなかったある箇所のタイミングが毎回完璧に合うという奇跡も味方してくれ、、良いアレンスキーが弾けたかな。』

今日この時間、3人が同じステージにいることが奇跡、そして、本番では2つ目の奇跡が起きていたのですね。

素晴らしいという言葉では感動を100パーセント伝え切れないけれど、心いっぱいに、気持ちいっぱいに叫びます。本当に素晴らしい演奏でした!

4部構成でお届けした「舞台は世界」。たっぷり3時間、だけど、あっという間の3時間。本来であれば、それぞれが1回のコンサートになるくらいの濃厚なステージでした。

初めてクラシック音楽を聴く人にも楽しんで欲しい

おんなつプロデューサー永井美奈子が大切にしていることのひとつに「初めてクラシック音楽を聴く人にも楽しんで欲しい」という想いがあります。

他では聞けない、楽しいトークもおんなつだからこそ。

音楽家の魅力に迫ります。

見どころ、聴きどころがわかる曲目解説

初めて聴く曲でも、楽しめるきっかけがあると良いのではないか、聴きどころや見どころを知っていると楽しめるのではないか。そこで出来上がったのが「永井美奈子のお節介解説」。

色々な解説を読みまくり、リハーサルにも全て立ち会い、練習の時に3人が何を喋っていたのか、どんな風に音楽を作っていったのか、曲の聴きどころや見どころにフォーカスした、おんなつならではの曲目解説です。

この解説書を読んで演奏を聴けば、「あ〜、ここだね!」「もうすぐ来るぞ...来るぞ....来たーーーー!」と、あらかじめ予習をしてから音楽を楽しめるわけです。

今回は「永井美奈子のお節介解説」から2曲、ご紹介しましょう!

今日のプログラムを10倍楽しむ 初心者向け永井美奈子のお節介プチ解説

フランク ヴァイオリンソナタ イ長調

1楽章  最初のピアノそしてヴァイオリンのフレーズをよ~く

覚えていてください!(循環形式というらしいですよ)

このメロディがこの後繰り返し登場してきます。切ない、美しい、実らない恋の様な。たとえて言うなら初恋?あるいは皆様の一番切ない恋を思い浮かべて重ね合わせてください。その時の情景、相手の面影、ご自身の心の中にメロディを住まわせてください!

2楽章  1楽章とはうってかわって、嵐のような展開です。そう恋も順風満帆な日ばかりではありません。大喧嘩した日々、犬と猿が喧嘩して追いかけまわっているような、忙しく動き回る旋律。ヴァイオリンもさることながら、フランクさんはオルガニストでしたのでピアノも聴きどころ満載です。鍵盤足りるの?くらいです。吉見君ならではの豪快で煌めく音の数々を聞き逃さないでください!

3楽章  フランクさんは即興の曲を作るのも得意な作曲家でした。この3楽章ではおなじみのフレーズが色々変化をしますが、全体を通して相当「冬の時代」ヴァイオリンがまるですすり泣いているよう。

この恋もこのまま破局か、、、、というくらい哀しい。

その悲哀が 今の百音さんの表現力の豊かさに表れます。

4楽章  言い忘れましたが、この曲はフランクさんが64歳の時に友人の若き天才ヴァイオリニスト28歳のイザイ君の結婚式に贈った曲なのです。(しかも結婚式当日の朝に贈ったために彼は急いで譜読みして暗闇の中 暗譜で弾いたらしい。注)諸説あり)

ですので 紆余曲折あった この恋も最後は結婚式というハッピーエンドで終わります。

このイザイさん、天才なだけにかなり習慣的に早いテンポで弾く方だったらしく、この難曲をスラスラと弾いたらしいです。

百音さんもその点似ていて。超絶技巧を事も無げに凄いテンポで弾きこなします。これぞ服部百音の真骨頂!

畳みかけるように恋も大団円です。祝福の嵐で4楽章をお楽しみください!

アレンスキー ピアノ三重奏曲第一番

服部百音22歳、吉見友貴22歳、水野優也24歳という

若さのこのトリオの最後の曲は、

アントン・ステパノヴィチ・アレンスキーが21歳

サンクトペテルブルク音楽院時代に書いたという

エネルギッシュでいながら深みのある曲です。

第一楽章

冒頭 哀調を込めた美しいメロディーから始まり怒涛の如く駆け抜け最後服部百音さん命名の「土砂くずれ」のメロディーが本当に格好良い

第二楽章

この楽章は音が飛び跳ねるような演奏方法が多くて

3人でそろえるのがとても大変です。

この楽章は3人で練習の時に「お客さんにここで笑ってもらおう!」というくらい「めっちゃ合わせてます!」アピールの所があります。どこかわかりますか?

第三楽章

チェロの物憂げなメロディーからスタート人間の声に一番近いと言われるチェロの音色はすっと心の中に入ってきます。歌うヴァイオリンの高音も素晴らしく。さざ波の様なピアノも聴きどころです。

実はこの曲は高名なチェリスト カルル・ダヴィドフさんの追悼のために作られた曲なのです。大切な人を亡くした思いが溢れます。

第四楽章

怒涛の如く押し寄せる音の波に酔いしれてください。

さぁ、おんなつ初日「舞台は世界」

いかがでしたか?

たっぷりとクラシック音楽を楽しんでいただけましたでしょうか?

楽しいトークあり、音楽家の魅力もたっぷりお届けするおんなつ。

今日のコンサートが、クラシックファンにとっても、初めてクラシックコンサートを訪れた方にとっても、素晴らしい音楽との出逢いであったなら嬉しいです。

二日目の明日は「フルート祭り」。

フルート漬けの夜をお送りします。